【5周年記念連載】 第二回 5周年で仕掛けた、各運営サイトの革新的リニューアルの狙いとは?

地域の課題に向き合って実施されたwebサイトのリニューアル。

SHARE BASE Projectが5周年ということで、メディアの方々にこれまでの経緯を説明させて頂いた内容を連載しているこの企画。第1回では、各サービスが生まれた経緯についてお話した内容を記載させて頂きました。

第2回は、5周年を機に地域課題に向き合って実施された運営サイトのリニューアルの狙いと、SATORUとしての想いについてのお話を記載させて頂きます!「一体何が変わったの!?」「 なぜそんなことをしたの!? 」 気になる問いに答えていきます。

1.効果的な情報発信の”場”を提供する「SHARE BASE Channel」。

記者S:改めまして、今回5周年記念でリニューアルしたポイントとその狙いについて、深掘りさせて頂ければと思います。

橋本浩寿

橋本:そうですね、SHARE BASE Projectの5周年ということで、各サイトをリニューアルしていった経緯と中身を具体的にお話しできればと思います。

まずSHARE BASE Magazineでは、田舎暮らしへの憧れなどを持つ30代〜50代の男性からの支持が増えていったと話しましたね。すると記事の投稿を続けていく内に、「このこと書いてくれないかー?」とか「取材してもらえないかー?」とかっていう声を頂くようになったんですね。 でも、僕らが実際に経験していないことを書くのも難しいよなーということもありながら取材できるところは取材して記事を書いたり、商品を提供して頂いて記事を書くこともあったんですけど、「だったらこの媒体自体に誰でも記事が書けるようにしようよ!」っていうことで、「SHARE BASE Channel(シェアベースチャンネル)」って言う仕組みを搭載したんです。

シェアベースチャンネル

 どういうものかと言うと「webメディアに情報発信の”場”が持てますよー!」というもので、各地域を盛り上げるための取り組みを行なっている方がSHARE BASE Magazineに記事を投稿する、そうすることによって、元々田舎や移住、アウトドアに興味があってSHARE BASE Magazineに訪れている読者層に向けて、有益な情報を届けることができるっていうサービスなんです! さらにここに投稿された記事は、スマートニュース(※1)にピックアップされるので、このサイトに訪れる人は検索だけでなくスマニュー経由でも閲覧機会があります。

星賢孝霧幻峡の渡し

 実は地域を盛り上げたい! とさまざまな活動をしている方って、効果的に情報発信する術を持っていなかったりするんですよ。Twitter、Facebookとか各々のツールで情報発信しているんですけど、なかなかそれってアーカイブされないというか、発信したものが残っていかないんですよね。だから、せっかく良い活動をしていてもたくさんの情報の中に埋もれていってしまうという所を僕らは危惧していて。

地域活性化webマガジンシェアベースチャンネル

 であれば例えば、「どこどこの地域おこし協力隊がどういう活動をしていったか・・・」という記事をサイトにアーカイブさせていく、そしてそれを瞬発的にスマートニュースとかに取り上げてもらう、ということを続けてもらうことによって、より多くの人に情報を届けることができる、そんな場を作っていこう! ということで「SHARE BASE Channel」という仕組みをつくりました。

※1 (ダウンロード総数5000万以上の国内ダウンロード数第一位のニュースアプリ。略称「スマニュー」。)

記者S:SHARE BASE Magazineでリニューアルされたのは、そのチャンネルの仕組みが追加されたという所、という認識で大丈夫でしょうか?

WEBマガジンシェアベースマガジン

橋本:実はチャンネルについては昨年の10月頃から試験的に開始していたんです。でも従来のSHARE BASE Magazineには、その機能を表立って搭載する”スペース”がなかったんですね。さらに僕らが移住当初に始めた頃からサイト自体のデザインも変わっていなかったので、5周年を機にサイト自体のビジュアルを全体的に刷新して、チャンネルの記事自体もTOPページに表示することで正式にメニュー化しました。

2.体験・商品の需要を可視化した「SHARE BASE Matching」。

記者S:SHARE BASE Matchingも以前と見た目が大きく変わったと思います。リニューアルはサイトビジュアルが主なところといった感じでしょうか?

地域を元気にするマッチングサイトシェアベースマッチング

橋本:SHARE BASE Matchingについては、せっかく体験プログラムを企画して募集していても予約が入らないケースもあるんですよ。そういう時って「ほんとに見てくれてるのかな?」っていつしか申し込みカレンダーを更新しなくなってしまうんですよね。そうなると、申し込みたい人が後から現れても参加申し込みができないんです。

 そこで「ちゃんとあなたが作ったプランやイベントはちゃんと見られているし、実はこんなに参加したいと思っている人がいるんですよ」ということをちゃんと伝えてあげたい! と思ったんです。そんなことを考えて追加したのが、「再開催リクエスト機能」です。募集を終えてしまったプランを見て、申し込みたいと思った人がリアクションできるボタンをつけることで「あなたのプランの再開催リクエストがこんなに集まってます! だからもう一度スケジュールを調整してみてくださいね!」と、期待値を見える化させたんです。

さらに、募集カレンダーを更新すればボタンを押した会員ユーザーに通知が飛ぶという仕組みにもなっていて、こんなに再開催リクエストが集まっているならもう一度日程を調整して募集を開始してみよう! という気持ちになってもらえるようにアップデートしました。

地域の商品や体験を販売するマッチングサイトシェアベースマッチング

 SHARE BASE Matchingでは販売したい商品も掲載できますが、もちろんそちらも同様です。地域の特産品や6次化商品って、売れるかどうかわからないけどつくってみる!っていうところから始まっていくことも多いですよね。そのつくったものが本当に売れるかっていうことが大事で。試しに一つ作ったものが売れて、在庫がない状態になった時に購入意欲のある人が「再販売リクエスト」を押して数が溜まっていけば「これは売れる商品なんだ!商品化イケるんだ!」という形で、生産活動をする事業者さんや若者が増えていくんですね。

 つまりは、SHARE BASE Matchingが活発化すれば、こんな体験やイベントはどうだろう? こんな商品が売れるだろうか?という地域の方や事業者さんが、テストマーケティングや挑戦してみることができるプラットフォームになり得るんです。そしてそれをきっかけに、地域の観光資源の発掘、地域の特産品の発掘に繋がっていたり、そして何より、地域の若手の人材育成にも繋がっているんです。そんないろんな想いを乗せて、今回5周年のアップデートに至ったという形でした。

記者S:再開催リクエストが主催者に通知されることで、ユーザーからの需要を可視化することができるという認識で良いでしょうか?

地方移住IT企業

橋本:まさしくその通りです。主催者の管理画面では、ユーザーとのメッセージのやりとりや予約・販売状況の管理ができるんですが、どのプランやイベント、商品に興味やリクエストが集まっているのか? それらが可視化できるようになりました。

 補足でご説明すると、募集カレンダーが設定されていないものには「再開催リクエスト」ボタンが表示されますが、設定されているものには「興味あり」ボタンが表示されます。いわゆる「いいね!」みたいなものですね。ユーザーは会員登録をしていなくてもボタンを押してリアクションすることができるんですが、登録しておけば「再開催リクエスト」ボタンを押したプランの募集が始まった時にその通知を受け取ることができるんです。

福島県昭和村からむし織体験プログラム

 また、訪れたユーザーは「あれっ?やってない(募集してない)じゃん!」とサイトから離脱してしまうことがあったんですが、こうしたリアクションがつけられることによって、今すぐに参加はできなくても「面白そう!またやってほしい!」とか「また販売開始して欲しい!」という風に、地域を盛り上げることに関わることができます。

記者S:開催や販売の予定がないプランや商品も、サイト内にアーカイブしておくことで、需要と共有を合わせられるっていう仕組みなんですね。

橋本:仰る通りです。掲載は誰でもできるので、需要はあるかな?欲しい人はいるかな?という体験や商品も、スケジュールや在庫を設定せずに掲載しておくだけで、個人レベルでテストマーケティングをすることができます。 

3.旅ナカの需要もカバーした「タビナカマッチ」。

記者S:少し前のことですが、SHARE BASE Matchingにはタビナカマッチという機能が追加されたという発表がありましたね。

旅ナカ直近対応予約システム

橋本:はい、5周年を迎える数ヶ月前ですが、「タビナカマッチ」っていう新しい仕組みもSHARE BASE Matchingの中に導入しました。

タビナカマッチは、環境省の補助事業を活用し一般財団法人休暇村協会さんと一緒に開発した取り組みで、直近特化型の体験予約システムなんです。SHARE BASE Matchingって、お目当ての体験があるから、予約をしてからその地域に行くといういわゆる旅マエ動機のサービスなんですね。

 一方で、地域にある課題として僕らが注目したのは「その地域に訪れたはいいものの、そこですぐにできる体験を探す術がない」という所なんです!

観光地域の宿泊事業者と体験事業者連携システム

 どういう状況かと言うと、例えば旅行先などで遊びや体験の情報収集をする時に、観光案内所や道の駅を訪れたり、宿泊施設のフロントに尋ねたりすることがありますよね。そんな時に、アクティビティ事業者さんや何かしら体験を提供している方の空き状況って把握してないことがほとんどで、実はこれって全国的な地域の課題なんです。そこに風穴を空けるべくローンチしたのが「タビナカマッチ」です。

 今ワーケーションが話題になっていたり、働き方が多様になっていますよね。いろんな拠点で過ごす中で、空いた時間や余暇に対してのアプローチが大事だと思っています。そんな空いた時間に、体験事業者さん一つ一つに問い合わせるのってめんどくさくないですか? タビナカマッチなら、今日、明日、明後日の直近3日間で参加できる体験がその場で確認できて、そのまま予約ができるというのが一つの特徴です。

体験予約サイトオンラインツアーデスクデジタルサイネージ

 さらに、その空き状況は連携する宿泊施設さんや観光の拠点にも共有することができていて。デジタルサイネージやタブレットが置いてある施設であれば、映画館の予定のように今日これから参加できる体験、明日できる体験を表示しておけるんですね。それを見て自ら予約をすることもできるんです。一方で地域によってはスマホの扱いに慣れていない世代の観光客が多い地域もあると思います。タビナカマッチでは「オンラインツアーデスク」という機能も兼ね備えていて、「ここ空いてるんですけど予約できますか?」という形でフロントに尋ねると、フロントが代行して予約できちゃうんです。もちろん観光拠点の窓口でも同じことができます。

記者S:旅行先で空いた時間に体験できる事柄を、自分で探して予約することもできるし、それが苦手なら滞在している宿泊施設のフロントや観光案内所や道の駅の窓口などを介して予約ができるようにしたということですね。

橋本:考え方としては、地域がうまく連携して観光を盛り上げていこうというもので、実はこれも地域のテストマーケティングができてしまうんです! 連携することによって、主催者として掲載した時に、ちゃんと予約が入ってくるのか? という不安を各事業者さんと共に検証できるサービスなので、全国的に幅広い地域で活用してもらいたいと思っています。

福島県裏磐梯タビナカマッチ
※写真は実際のタビナカマッチ説明会の様子

 だから、タビナカマッチを利用するには、個人レベルではなく組織レベルで利用して頂くことを想定してます。例えば自治体さんや観光協会さんが地域の事業者をまとめてタビナカマッチを活用するようなイメージで、現在は裏磐梯観光協会さんと運用を開始しています。事業者さんの中には、旅マエの予約をSHARE BASE Matchingで獲得して、旅ナカの直近予約をタビナカマッチで獲得している事業者さんもいます。旅マエ動機から旅ナカ動機に至るまで、主催者もユーザーも一気通貫で出来ます。

記者S:SHARE BASE Matchingでは個人でどんどんテストマーケティングしていくこともできますが、追加で導入されたタビナカマッチでは、地域単位でまとめて地域全体のテストマーケティングや分析ができるということですね。

裏磐梯ワーケーション
※写真はタビナカマッチ裏磐梯が取り上げられた時の新聞記事(※引用:福島民報)

橋本:僕らはそうした活動を定着させていきたいと思いますし、こうしたサービスをつくっていくことによって多くの人に「自分たちは実はこんな想いがあってやってるんだ」ということを悟って欲しいというのが、僕らの活動の根本にあるんです。

4.個人でもできる地域活性化。そして連携の強化へ。

記者S:サービスに追加した機能や背景を詳しく話して頂きました。SATORUとして今課題に思っていることや、これからやっていきたいことにはどんな事がありますか?

福島県奥会津昭和シェアベース昭和村

橋本:地域の活性化って、自治体さんがやることでしょ?とか、一部の民間企業がやることだったりお金がある人がやることなんでしょ?と思っていたり、あまり地域の問題に関心がない人も多くて… そんな中で僕らみたいに地域ってまだまだやらなきゃいけないことがあるなーと思った時に、盛り上げたいと活動をする人たちが少ないことに気付いたんですよね。貴重な人材なのに、やり方がわからないっていう人もほとんどだったりするんです。「プレイヤーが少ない」「やり方がわからない」というのが地域の大きな課題なんじゃないかなーと思ったんですね。

 だから、そういった人たちにうまくインパクトを与えていかなきゃいけないなというのを、SATORUとしては思いました。そうした時に、体験や商品のテストマーケティングなどこれまで自治体がプロポーザルなどで実施してきたものを、個人レベルでもできちゃうんだよ! というのを証明したくて、今回のSHARE BASE Matchingのリニューアルに至りました。

記者S:最後に、今回の5周年のリリースには「SHARE BASE Menbership」というものも新たにスタートしたと発表がありました。

地方移住企業

橋本:5周年かけて人の力、若者の力ってめちゃくちゃ偉大だなー!って再認識したんです。僕らはSATORUとしていろいろやっていますが、やっぱりこれから地域を盛り上げていくんであれば、やっぱりつながり、連携を強化していかなければいけないと思ったんですね。そこで、SHARE BASE Projectの本質が「秘密基地」なので、もっと秘密基地を通して人を巻き込んでいきたいなと思って、webサイトのリニューアルだけじゃなくて「SHARE BASE Membership」っていうものも考えました。

記者S:次は、その「SHARE BASE Membership」について深掘りしたいと思います。

【5周年記念連載 社長インタビュー】の最終回はこちらから。
・【5周年記念連載】 最終回 地域は「人」がつくる。SHARE BASE Projectのこれからの形。

masaki umino
masaki umino
茨城県出身。大学卒業後、企業での営業経験を経て株式会社SATORUの創業メンバーとして参画。2017年に福島県昭和村へ移住後、地域活性化プロジェクト「SHARE BASE Project」で自社サービスの開発・運営・管理や各種ディレクション、webライティングを行っている。