古民家の傾きを直すには?|築150年を超える古民家を持ち上げた、基礎・土台改修の5ステップ!

これ以上家を傾かせない!150年以上家屋を支える土台の改修ポイントを凝縮してご紹介!

築150年以上の古民家は、長い年月の間に湿気や積雪、シロアリ被害などによって土台が腐食し、床の傾きや建物の歪みが発生することがあります。

今回の記事では、福島県昭和村で実際に行った古民家の傾きを直す土台改修工事を、5ステップで解説。ジャッキアップから始まる施工の様子、コンクリート基礎の打設、大工技術による柱と土台の補修、床下対策、そして施工前後のBefore→Afterまで、順を追ってご紹介します!

この古民家は、のちに「SHARE BASE 昭和村」という一棟貸し古民家&アウトドアフィールドとして、運営しております! 生まれ変わった様子もぜひご覧くださいね。

1.古民家の傾きを直す土台改修とは?

古民家再生において、土台改修は最重要工程。腐食した土台は倒壊リスクを高め、建物の水平性を損ないます。今回は、DIYでは手が届かない部分を専門の大工さんと施工。家屋の傾きに繋がる2辺を優先的に改修し、新しい檜の土台を設置しました。

古民家の図面
古民家の平面図。今回入れ替えるのは赤い線の2辺の土台。

古民家の傾きを直す土台改修とは?
実際の現場写真。

土台改修の効果は、

  • 床の傾きを抑える
  • 建物の耐久性を向上させる
  • 木材の腐食やシロアリ被害を予防する
  • これらが主な目的です。

    古民家の傾きを直す土台改修とは?

    優先的かつDIYでは直せない最大の難所!プロの手によりどのように再生されたのでしょうか?そのBeforeとAfterをご覧頂きたいと思います。

    2.ステップ1|ジャッキアップで古民家を持ち上げる

    ジャッキアップで古民家を持ち上げる
    古民家全体をジャッキアップして持ち上げることで、腐食した土台を安全に撤去できます。築150年以上の建物でも、専門の知識と経験を持つ大工さんの手で慎重に行われます。ジャッキアップ作業中は、建物が宙に浮いた状態となり、内部の腐食状況やシロアリ被害を確認することも可能。

    ジャッキアップで古民家を持ち上げる
    ジャッキアップ後に撤去された土台は、湿気や積雪の影響で大きく腐食。床の傾きや2階サッシの閉まりにくさなど、具体的な問題が表面化していました。この状態を放置すると倒壊の危険もあり、古民家再生において優先的に対処すべき箇所!

    ジャッキアップで古民家を持ち上げる
    住宅の基礎からダメにしてしまうシロアリの甚大な被害

    3.ステップ2|古民家の基礎工事 コンクリート打設

    古民家の基礎工事|コンクリート打設
    古民家の多くは、コンクリート基礎が普及する以前の石場建て基礎で建てられています。石の上に木材を置く構造で、一見不安定に見えますが、地震の揺れを受け流す柔軟性や床下の通気性が確保される利点があります。

    ただし長年の積雪や湿気、シロアリ被害で石の位置がずれたり、柱の土台が腐食したりすると建物が傾く原因に。そこで新しいコンクリート基礎を打設し、土台を支えることで、耐久性と通気性を両立させます。

    古民家の基礎工事|コンクリート打設
    ​曲がりくねった峠道を越え、現場に到着したミキサー車。職人さんたちは手際よく生コンを一輪車に流し込み、基礎の設置場所へ運びます。前日に大工さんが作ったコンクリート用の枠に沿って生コンを均し、水平に整える作業は見た目以上にシビアです。ここが不十分だと、せっかくの土台も傾いてしまいます。

    南東、南西側いずれも、新たに基礎となるコンクリートを敷き、その上に土台を乗せています。風通しも良くなり、従来のように腐食が進んでしまうようなつくりも改善されています。

    4.ステップ3|大工技術で柱と土台を補修

    大工技術で古民家の柱と土台を補修
    腐食した柱は一定の高さでカットし、新しい檜の木材で継ぎ足します。ここで用いられるのが相欠き継ぎ。柱同士を半分ずつ削って組み合わせることで、接合面が広くなり、ズレにくく強度も確保されます。昔ながらの大工技術は、見た目はシンプルですが非常に合理的です。

    大工技術で古民家の柱と土台を補修
    土台同士を繋ぐために使われるのが、腰掛け鎌継ぎ。木材を噛み合わせるように組むことで、引っ張りやズレに強く、建物を長く支える工法です。新しい檜の土台が設置され、現場には木の香りが広がります。古民家の強度と美観を両立させる大工の技術に感心せずにはいられません。

    5.ステップ4|土台改修の完成!床下対策と通気性の改善も。

    土台改修の完成!床下対策と通気性の改善も
    古民家の床下には、昔から残る廃材がシロアリ被害の原因となっていました。取り外し可能な床下カバーを設置することで通気性を改善し、今後のメンテナンスや腐食防止にも配慮されています。この工夫により、土台改修後も長期に渡って安全な状態を維持できます。

    土台改修の完成!床下対策と通気性の改善も
    檜の土台が入り、しっかりと腰を据えた状態になりました。そのまま放置していれば、いつかは倒壊してしまっていた築150年以上の古民家も、土台をしっかりと改修すればまだまだ長持ちします。大工さんの技術によって、日本の家屋はずっと長い間大切に引き継がれているのです。

    6.ステップ5|施工前後(Before→After)

    施工前後(Before→After)
    施工前は廊下が傾き、2階サッシの開閉に支障がありました。約19mにわたる土台改修により、床の傾きが抑えられ、以前よりもサッシが閉まりやすくなりました。

    施工前後(Before→After)
    池側の部屋は床下が高く廃材も多く、シロアリ被害がひどい箇所でしたが、新しいコンクリート基礎の上に土台を設置し、床下カバーを取り付けることで通気性が向上し、腐食や害虫のリスクも軽減されました。

    損傷がひどかった角の部分は、大工技術で頑丈に組み直されました。素人では真似できない精密な施工で、古民家の耐久性を格段に向上させています。

    ジャッキアップで古民家を持ち上げる
    Before

    ジャッキアップで古民家を持ち上げる
    After

    7.古民家再生の土台改修まとめ

    12日間にわたる土台改修で、古民家の傾き改善、腐食防止、床下通気性向上が実現!

  • ジャッキアップで古い土台を撤去
  • コンクリート基礎の打設
  • 相欠き継ぎ・腰掛け鎌継ぎで土台と柱を補修
  • 床下カバーで通気改善
  • この工程により、築150年以上の古民家でも安全で長持ちする土台が完成しました!この後、外壁改修や内装リノベーションを展開、およそ1年後にオープンしたのが「SHARE BASE 昭和村」です。あなたの仲間や家族と一緒に、秘密基地に訪れるかのように滞在を楽しんでみて!

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    masaki umino
    masaki umino
    茨城県出身。大学卒業後、企業での営業経験を経て株式会社SATORUの創業メンバーとして参画。2017年に福島県昭和村へ移住後、地域活性化プロジェクト「SHARE BASE Project」で自社サービスの開発・運営・管理や各種ディレクション、webライティングを行っている。