福島県昭和村の伝統文化「からむし織」の全工程をご紹介いたします。
幾度となく紹介してきた「からむし」。今回は、『浸水〜からむし引き』までの工程を見学させて頂いたことで興味を頂き、からむし織の栽培〜生産における工程を調べてみましたのでその内容をご紹介させて頂きます。今回この記事を掲載するにあたり、村の方々の声、インターネットの情報を参考にし、多くの写真を他のサイトからお借りさせて頂きました。もし情報に誤りがあったり、写真の変更などがあればお気軽にご連絡いただけますと幸いです。
植え付け/春
画像参照元:大岐の暮らし-Ohmata's style
植付
からむしは、雪がとけ5月中旬頃からむしの根を植えますが、 1年目は雑草を取り除く程度で、2年目以降にからむし焼をおこない、3年目から収穫ができるようになります。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
植えてすぐに収穫できるというわけでなく、3年目かけて、やっと綺麗なからむしが収穫ができるようになります。織物につかうからむしは害虫や雑草から傷がつかぬように長期間かけてしっかりと管理されていくということですね。
からむし焼き/春
転載元:β2版「記憶の森を歩く」kanke's-web 2017
からむし焼き
からむし焼きは、旧暦4月の中の日(5月21日の小満の日)を目安に行っています。これは、からむしの発芽がばらばらなので、先に出た芽を焼くとともに根に刺激を与えて一斉に発芽させるために行います。 また、害虫の駆除や焼いた灰を肥料にする意味もあります。からむしの栽培が最も盛んだった大正以前には、村中で火がつけられ、夕空をこがして壮観だったようです引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
この様子も今後みてみたい昭和村ならではの景色です!!
垣結い/春
転載元:別冊 恵比塵
垣結い
からむし焼き・施肥を終えた後、からむし畑の周囲に杭を立て、棒ガヤ(カヤ)で垣を作ります。 これは風で倒れたり、擦れ合うのを防ぐためと、獣の侵入を防ぐために行われます。 こうして囲われたからむしは静かに成長していきます。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
傷つかないように、手間をかけて大事に大事に育てられているのがわかります。
収穫/夏
収穫
からむしの刈り取り時期は、7月20日前後からお盆までに行います。この時期に収穫すると、品質の良い繊維がとれるのです。刈り取りは1本ずつカマを使ってていねいに行います。茎から葉を落とし、尺棒と言われる定規で一定の長さに切り揃えます。 からむしの成長具合によって品質を分けて束ねられます。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
1本ずつ、カマを使って収穫するということに驚きです。
浸水/夏
浸水
刈り取り選別したからむしは、皮を剥ぎやすくするため、数時間から一晩ほど清水に浸します。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
からむし剥ぎ/夏
からむし剥ぎ
清水に浸したからむしは、1本ずつていねいに、皮を2枚になるように剥ぎます。 剥いだ皮は1にぎりくらいに束ねて、また清水に浸します。 清水に浸すのは、皮を乾燥させないためとからむしから出る青水(青汁)を流すためです。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
今回、ここから見学させて頂いた工程です。収穫〜乾燥までを約1週間かけて村の方が役割分担しながら一気に進めていく様子に驚きました。
からむし引き/夏
根気強く苧引き具で剥いだ皮の外皮を除いていき、繊維を取り出していきます。これもひとつひとつ丁寧に手作業で行われており、力加減がとても大切とのこと。また「からむし引き」は、場所によっては男性が行う場合もあるとのことですが、昭和村のからむしは、丁寧にをモットーに質にこだわるために昔から女性が行なっているとのことです。取り出した繊維は、2日程度陰干しして乾かしていくそうです。
乾燥/夏
転載元:大人すはだ
乾燥
屋内で干されたからむしは、昔の単位である100匁(約375g)にまとめます。出荷用の形に束ねられたからむしは、日にあてないよう保管します。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
ここでもワンポイント。からむし織を行う地域によっては、屋外で乾燥させるところもあるそうです。屋内で乾燥することで、昭和村の質へのこだわりを感じます。
苧績み(おうみ)/秋
転載元:株式会社奥会津昭和村振興公社
苧績み(おうみ)
からむし引きによって取り出された繊維を細かく裂き、糸をつないでいきます。1本1本指で裂いてつなぐので根気のいる作業となります。 帯1本分の苧積みには2ヶ月程かかります。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
撚りかけ/秋
転載元:株式会社奥会津昭和村振興公社
撚りかけ
おぼけ(苧桶)と呼ばれる丸ワッパにためられた糸を静かに取り出して湿らせ、糸車でよりをかけ、丈夫な糸に仕上げます。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
からむし織/冬
転載元:ローカルニッポン
からむし織
作った糸は、昔ながらの機織り作業(地機による手織り)により、立派な反物に仕上げられます。 糸がデリケートなため高度な技術を必要とします。 肌に付着しない夏衣として気持ちよく、一度着用すれば他の織物を着ることができなくなると言われています。現在では、着尺、帯、小物等がからむし織で生産されています。引用:からむし織の里 福島県昭和村ホームページ
完成
ということで今回、全工程をご紹介させて頂きました。すべて手作業で手間暇かけて一年通して完成していくからむし織の製品。今回の記事タイトル「からむし織の希少価値を実感!工程を見学して高価な理由に納得。」ですが、品質にこだわりに抜いているため大量生産ができない希少なものです。一度見学しに来てみてください。