江戸時代から残る古民家を守る。今も地域おこし協力隊が行い続ける「燻蒸(くんじょう)」に密着!
「古民家の活用」は、これからの時代に必要と言われる反面、課題が多いのも事実。建物を生かすのか、土地を活かすのか。手がける者によっても、その姿は様々な形に変化していきますよね。
茨城県城里町では、江戸時代から残る古民家を守り生かすため、地域おこし協力隊による「燻蒸(くんじょう)」という作業が行われているとの事! 今回はそんな活動に呼んで頂いたので、その様子をご紹介したいと思います!
目次
1.茨城・城里町の築350年の古民家『島家住宅』で行われる『燻蒸』とは?
茨城県城里町にある『島家住宅』は、かつて農家の邸宅であった古民家。1600年代の江戸時代から築350年以上経った今も、当時の構造の多くを残したままになっています。
国の登録有形文化財となり城里町に寄贈され、現在では地域おこし協力隊や地域の方々の手によって守られています。
住宅の中は、昔ながらの生活様式が垣間見え、かまどや囲炉裏があり、お風呂も薪をくべるタイプのもの。
座敷は一続きの間になっていて、古民家の特徴の黒く立派な張りが、歴史を物語っています。
そしてここ島家住宅では、地域おこし協力隊の手によって「燻蒸(くんじょう)」という作業が行われているんです!
「燻蒸」は、屋内で燃やした木や枝の煙で茅葺を燻す事で防虫の効果をもたらし、建物を守る作業。ここでは月に1回程度の燻蒸作業を1日通して行なっているとの事! 実際はどんな様子なのでしょうか?
2.屋内で焚き火?! 燻蒸はどうやって行う?
画像引用:城里町地域おこし協力隊公式HP
ここでの燻蒸は、かまどを使い火を起こし、周辺の木を燃やす事で煙を立たせて燻蒸します。ボクが訪れた時は、誘って頂いた地域おこし協力隊の坂本さんを含む4名の方が先に作業を行なっていました。
福島の豪雪地帯の古民家と、茨城の古民家のつくりの違いや、燻蒸を通して深まる地域の方々のコミュニティ、自分たちの住んでいる地域の話など、食べ物や飲み物を持ち寄って団らんする、まるで焚き火を囲んでいるような感覚!
キャンプの焚き火もそうですが、人って火があったり暖かい所に集まりますよね。初めてなのに、そこにいるだけで不思議とほっこりする空間です。
屋内を見上げてみれば、吹き抜けになっている天井に向けて、煙が立ち上っているのがわかります。この煙が茅葺に潜む虫を退治して、長持ちさせてくれるという事。(まるでバルサン・・・!?)煙は一箇所に留まらず、上手に全体に行き渡るそうです。
地域住民の憩いの場としても島家住宅は活用されていて、燻蒸の他にも島家住宅を中心に様々な活動が行われています。
3.「燻蒸」の他にも、島家住宅を中心に様々な活動が行われる。
画像引用:城里町地域おこし協力隊公式HP
茨城県の城里町と言えば、茨城の3大銘茶「猿島茶(さしま茶)」「奥久慈茶」に並ぶ「古内茶」が有名です。
この地域での古内茶の栽培が盛んになったきっかけとされるのが、かつてこの地で水戸黄門(徳川光圀)がその味と香りを愛し名付けた「初音茶」の存在。その初音茶の栽培を復活させようというプロジェクトも、この島家住宅の敷地内で行われています。
画像引用:城里町地域おこし協力隊公式HP
2020年5月には、初音茶の初の収穫も行われ、地元の方々による試飲会も開かれています。燻蒸やお茶の栽培のプロジェクトなど、島家住宅を中心に様々な地域を元気にする動きが広がっている様子!
4.伝統的な作業が人とアイディアを集める! あなたも燻蒸に参加してみては?
人が住まなくなれば、住居はどんどん老朽化していきます。島家住宅は、地域おこし協力隊や住民によって燻蒸という作業を通して守られ、人が集まり、アイディアが集まる場所になっています。
他にも、城里町では地域おこし協力隊による様々な取り組みが行われているので、気になる人はぜひ公式HPをcheckしてみて!
▶城里町 地域おこし協力隊公式HP
【島家住宅の燻蒸】
開催:不定期
場所:〒311-4315 茨城県東茨城郡城里町上古内480 1
問い合わせ:城里町地域おこし協力隊 坂本
TEL:080-5468-7392
MAIL:info@shirosato-okoshi.com